第14話 尊物(とうともの)
年頭の初護摩供養に友人が参加しました。
かねてからつき合いはあったのですが、お寺へのお参りは初めてでした。
まだ幼い娘さん二人と奥さんも一緒でした。
「子供がぐずるかなあ。」と不安顔の友人。
護摩供養が無事終わり、彼が嬉しそうに駆け寄ってきました。
「すごいなあ。始めて体験したよ。すごく良かったよ。、娘も手を合わせて拝んでた。僕は般 若心経を子供の頃、祖母とよく拝んでたけど忘れてるもんだねえ。でもみんなと拝んでいるうちに自然と口から出てきた。そうしたら懐かしい場面
や気持ちが蘇ってきて幸せな気持ちになった。昔拝んだことが心のどこかに【しるし】としてあったみたいだ。娘にも今日【しるし】がついたと思う。」
信仰は早ければ早いほうが身に付くといわれます 。
産まれた時から、いや、母の胎内に居る時から本来、身に付いているのです。
ご先祖さまの生命を頂いているのだから当たり前のことです。
しかし、それが成長につれて悲しいかな、段々と薄れていく人もいます。
幼き信仰は無意識かもしれませんが、彼の充実した顔を見ているとつくづく大切なことだと感じました。
お大師さまは幼年の頃からよく拝まれ、そのけなげなお姿を人々は『尊物(とうともの)』と呼ばれました。
21世紀、私達大人の手で子供達の心に多くの【しるし】をつけて『尊物(とうともの)』へと導き、素晴らしい未来にしたいものですね。 |