〜仏 壇

○仏壇の意義  

仏壇の起源は、奈良朝の天武天皇の「諸国家毎の仏舎を設け、仏像及び経巻を安置して三宝を供養すべし」との御詔勅が出されたことが始まりだといわれています。もっとも、ここにいう家毎というのは、どの家にもという意味ではなく、「諸国の役所に仏さまを安置する場所を設けなさい」という意味です。各家庭に仏壇が入ったのは、江戸時代頃からといわれています。仏壇には次の三つの意味があります。    

一、精神修養  仏壇は家庭における信仰上の道場である
二、一家繁栄  まつられる仏さまは家を守ってくださる本尊さまである
三、回向供養  祖先の尊霊が集われるところである

仏壇はその家庭の精神生活の中心であり、いのちの故郷としてもっとも尊い場所なのです。仏壇を大切にすればその家は栄え、仏壇を粗末にすることは、いのちを粗末にすることであり、その家が衰えていくのは当然のことなのです。

○仏壇のまつり様

真言宗の仏壇には普通、本尊・大日如来さまを中心に不動明王さまとお大師さまの三尊をまつります。三尊は仏像でも仏画(お軸)でもかまいません。またその家の有縁の仏さまを本尊としてまつってもかまいません。位 牌はその家のご先祖さまをまつり、新家の場合はまつりません。まつる場合は「先祖代々」の位 牌をまつります。そして、花、灯明、香、御飯、お茶湯、果物、菓子等を供えます。

○仏壇の向き

南や東向きが理想ですが、家の立地や間取りによって異なります。方角よりその部屋はどこから日が射し込んでいるかを考えて、落ち着いて拝める場所を選びましょう。

○仏壇と家相

家相では家の中心が大切です。色々な見方がありますが、本尊さまを家の中心と考えて家相をみていくとよいでしょう。まず仏壇をどの部屋(仏間)にするか決め、中心とすれば吉相をもたらします。近頃では洋式の家も増え、仏壇を置く部屋を設けない家もあるようですが、新築の際には一番に考えたいものです。

○仏壇の移動

開眼(かいげん= 魂入れ)をした仏壇を引っ越しや改築で移動する場合は必ず僧侶に拝んでもらいます。また、部屋から部屋へ動かす場合も家族で判断せず、必ずお寺に相談しましょう。

○分家と仏壇

仏壇はその家に亡くなった人が有る無しに関わらずまつります。「分家した場合、仏壇は?」とよく質問をうけますが、高蔵寺では「是非まつって下さい。」と答えます。昔は分家する家に本家からお仏壇や神棚を贈ることもあったそうです。一戸建てはもちろんのこと、マンションや借家の場合でもまつっていただきたいと思います。簡易の小さなタイプでもかまいません。家の中に信仰の道場を是非、設けていただきたいと思います。

○購入時の注意

仏具店で本尊さまや仏壇を購入する際、安い物を選び、そのうえ値切るという人がいるそうです。本尊さまは家の主人の精神を表すものであり、自分の姿を映す鏡というべきものですから、ただ仏の形をしていればよいというものではありません。

店で本尊さまを値切るという人は、自分で自分を馬鹿にし、心の価値を下げているようなものです。逆に高価なものというだけに満足し、供養がおろそかになる人もいます。そう度々買い替えるものではありません。なによりも本尊さまは慎重に立派なもので家族が気に入ったものをもとめましょう。本尊さまを家にお迎えするということは「家の心の基礎固め」という考えをもちたいものです。

○ちょっと良い話「テレビの上の拠り所」

私は住職として高蔵寺に勤めておりますが、もう1つの作家としての顔がございます。(ほほえみほとけ)様々な地域で仏さまの絵や土で捻った仏さまの個展を開いています。
ある会場での出来事。若い女性が飛び込んできました。「お久しぶりです。土のお地蔵さんありますか?」と 。見覚えのあるお顔です。前に小さな「土ほとけ」を買って下さった方でした。「ありますよ。」とご案内申し上げると真剣に選ばれ「このお顔に決めます。息子へのプレゼントです。」1つを手に取られました。

若くして結婚した夫婦。ずいぶんヤンチャなカップルでした。早くに長男を授かり、20歳そこそこの旦那さんは朝早くから、肉体労働に出かけます。朝食を済ませ、テレビの占いを見て「よし!」と声を出して、柏手2回。テレビのお地蔵さんに向かって「今日も頑張ります」と出かけます。保育園の息子さんもそれを見て、園に行く前、パンパンとやるそうです。そして夜も「ただいま」「おやすみ」とパンパン。

拝み方は違えど、気持ちの部分は通じている。心の拠り所としてしっかりとその存在はあるのです。女性は言います。「息子も今年から小学生。この子のお地蔵さんをプレゼントします。おかげで家族倖せです。」世の中には立派な仏壇を買ったと自慢する人もおられます。でも本来必要なのはこのご家族のような心持ちではないでしょうか?

※だからと言って土のお地蔵さんを祀りなさいと言ってる訳じゃありませんよ(笑)

 

 

 
 
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